よいブックデザインを見分ける方法

toshie/ 8月 22, 2013/ お仕事

「良い装丁とはどういうものですか?」

こうたずねると、大抵以下のようにかえってくるだろう。

・表紙(カバー表1)のインパクトがある

・目立つ

・表紙が内容に合致している

など。

 

しかし、本当に良い装丁とは表1ばかりではわからないもの。

なぜなら、デザイナー渾身の出来であっても

出版社のルールや意向、著者の意見などに最も左右されるのも

また表1だからだ。

 

ではどこをみて、良い装丁と判断するか。

それは、ズバリ「表1以外」の部分だ。

表4オビや、著者略歴の文字送りは判断の基準に最適。

丁寧に仕事をしているかが一目瞭然だ。

見返しの紙チョイスにしても、表紙や扉のデザインにしても

良い装丁の判断になる。

 

データを入稿するまで、編集部チェックや決裁者確認、著者確認で

その都度手を加える場合がある。

デザイナーとして要望をかなえるべく

最大の留意点を伝えつつも、折衷案を示す必要がある。

無事入稿データがそろった後も、

紙やインクなどの関係で

印刷会社とのやりとりが欠かせない。

受注してから色校正までは気が抜けないし

刷り上がるまでどんな難関もクリアーしなければならないのだ。

 

だから

職人のように

細部にわたって丁寧な仕事をしていくことができるのが

本物の装丁家であり、

最後まであきらめないブックデザイナーこそ良い装丁家だ。

 

表1は、デザイナーにとっても顔、気を配るのは当然だ。

しかし、それ以外の部分にこそ、

デザイナーのプロ意識が隠れいている。

 

著者や編集が力を入れて

ここまで仕上げてきたのだから

デザイナーとして、それを表現すべく

丁寧に仕事を成し遂げたい。

それがデザイナーとしての責任なのだから。