『本物』の書籍を!

takashi/ 5月 14, 2009/ お仕事

ここのところ、大日本印刷(DNP)が誌面を賑わしている。
・DNPが主婦の友社の株を計39%取得
・DNPがブックオフの議決権の17・89%を持ち、筆頭株主

出版業界に携わる我々としても、目の離せないニュースだ。
これについて、やはり言及したい。

再販行為が許される書籍(新刊)と、逆に再販行為を維持すると独禁法違反になる中古とが、関係を持つという不可思議な行為。
でも、私の個人的な意見としては、「DNP良くやった(8割程度賛成)!」といいたい。

というのも、再販制度自体に問題があると常々思っていたからだ。

あらゆる先進国を見ても、未だに再販制度が残っているのは日本だけである(ウィキペディアの表より)。
著作物再販制度の制定主旨は、資料が無く明確なことはわかっていないとある。
文化的配慮説を主張している関係者は多いが、それも、今となっては時代錯誤もいいところだ。

では、その再販制度の恩恵を受けているのはどこか??
それは業界関係者全部ではないか!?

①書店
一度店に並んでも、売れない本や汚れた本は、出版社に返品可能

②出版社(版元)
返品されたものを、まるで新品かのようにカバーを変えて再度流通へ。

③取り次ぎ
①と②の繰り返しで、間でホクホク

皆さん、どう思われますか。
他の業界ではありえないことが、まかり通っているこの不思議さを今回のニュースで浮き彫りにさせたのではないだろうか。
出版不況といわれるのも当然だ。
安定思考の再販制度下では、この厳しい資本主義世界で残ることも難しいわけで・・・。

私は、公正取引委員会はじめ、関係各所に再販制度について考えるいいきっかけであると思っている。
いっそ、本当に『文化的価値』を保護するのであれば、再販制度は廃止した方がいいと思う。

そうすれば、『本当に良い書籍しか世の中に流通しない』と思うからである。
今、無駄な書籍があまりに多い。
いわゆる、ブログで済むだろうという類のものだ。

しかし、『本物は強い』!
本音で話し合って、本気で作り上げた、本物の書籍こそ、後世に残すべきではなかろうか。
この厳しい時代だからこそ、人の本質が勝負である。
金儲けのためだけでなく、人に「喜んでもらうため」に何かを生み出す
そういった本来の人としての善の部分で勝負していきたい!と願う今日この頃である。

しかし、これは理想なのかなぁ・・・。
やっぱり生活していかないと話にならないしね。

最後に、DNPの2割の反対理由について。
図書流通センター(TRC)は、やりすぎかなと・・・。
全国の図書館が利用するTRC
神聖な「図書館」に一部の人のみ口を出す権利が多くなってしまうことは恐ろしいように思うが、いかがだろう。

最後に、出版業界がこれだけ経済面を賑わすのは、正直言って嬉しいものだ。
現状に甘んじていてはいけない、何とかしないといけない、という思いが伝わってくる。
現場の人は大変かもしれないが、大いに激動して、良い書籍をともにつくろうではないか!