『広告批評』の批評

takashi/ 4月 10, 2008/ お仕事

皆さんも一度は目にしたことはあるだろう。
月刊誌『広告批評』
創刊30年を迎える来年4月、休刊することを発表した。

理由はこう。
「マスメディア一辺倒の時代からウェブとの連携時代へ、大きな転換期を迎えている昨今、一区切りつける時期と判断した」
「部数の減少や赤字による休刊ではない」

私も広告に携わる一人として、今回の件について一言触れねばならないだろう。

学生の時分は多大なる刺激を受けたことを今でも覚えている。
過激なタイトル、鋭い切り口、充実した展開。
当時の広告を良くも悪くもバッサバッサ批判している。
以下のタイトルは主に80年代のものだが、それをみてもらうだけでも勢いは伝わるだろう。

・おんな考
・キリストはコピーライターだった?
・パルコってだれだ?
・サントリーのここが嫌いだ!
・ソ連のここが好きだ!
・ところで、写真は元気かな
・東大ってなに?
・バカは死ななきゃなおらない

今の時代これらのタイトルが許されるかはわからないが、書店にあれば間違いなく吸い寄せられるだろう。
私はこの時代の『広告批評』が好きだった。
広告を批判しつつも愛し続ける天野祐吉(あまのゆうきち)氏の姿勢が感じられるからだ。
博報堂出身の彼は、今でもテレビ・ラジオ・新聞の連載などで辛口だけど憎めない有名コメンテーターである。

それがある時から、広告を批評していない気がして購読をやめた。
甘い『広告批評』になったのだ。
編集者の変更や時代の流れが変わったせいかもしれない。
しかし、いわゆる広告やCMの紹介・説明に転じてしまったようで、なんだか許せなかった。

そして、今回の知らせを聞いて、申し訳ないが「ああやっぱりか」と思ってしまったのである。
冒頭の休刊理由を聞いて、「私が嫌いになったあたりからは、実は模索中だったのかなぁ」とも思うわけで・・・。
しかし、やはり、最後まで辛口で通してほしかったという感は否めない。
あと1年。
「広告批評に載せていただき、しかも辛口コメントをいただけて嬉しかった!」といえる制作者サイドが増えるよう、ぜひ、尻つぼみに終わらず頑張っていただきたい。

そして最後に。
広告・CM・ウェブを含め、今後『広告批評』に変わって批判してくれる媒体がいないのは恐いことではないのか。
特に、クロスメディア(広告とマルチメディア)がより活発になるこれからの時代、厳しく確かな目で批評してくれる存在はありがたいと思うが・・・。