数学物語 4
今回はいろいろな『進法』について書いていきます。
そもそもこの『10進法』の由来、いったいどこから来ていると思いますか。実は、私たちが毎日見ているもの使っているもの、そう、『手の指』からきているのです。10本の指を折り曲げながら数を数えるという原始的な方法がそもそも数の起源なのです。
ここで、『進法』の話をするときに欠かせないものが『0(ゼロ)の存在』です。
かつての数字、例えばエジプト数字、バビロニア数字、ギリシア数字、そして現在時計などに良く使われるローマ数字、そしてわれらが漢数字などは、位が上がるごとに新たに記号(文字)を考案しなければなりませんでした。エジプトの例を挙げておきます。
しかし、これではどこまでも新しい記号を作って、しかも覚えていかなければならず、しかも25+136などという簡単な計算さえも長い式になってしまうことから不便さを感じたのでしょう。せっかくですのでチャレンジしてみましょうか。
<チャレンジ>
エジプト数字で 25+136=? (ただし答えもエジプト数字で書いてみよう)
どうでしょう。不便さがお分かりいただけたでしょうか。
こうして様々に改良されて現在の『位取り記数法』という数字の表記法が一般的になってきたのです。それではその『位取り記数法』とはいったいどういうものなのでしょうか。簡単です。やはり小学生の頃、例えば273という数字を書き表すときに次のような枠を書いた覚えがあるでしょう。
そして「これは100が2個と10が7個と1が3個をあわせたものですよ。」と教わったのではないでしょうか。これが、“位の枠を先に設けてその中に数字を書き込んでいく”という『位取り記数法』なのです。これによって、位が上がるごとに新たな(ヘンテコな)記号を設定する必要がなくなったわけです。そのときに、初めて、0が出現したわけです。
かつては、例えば105という数字を表すときに、十の位に0を入れるという発想がなかった頃は、スペースを空けたり(1 5)、横棒を引いたり(1-5)とした時期もあるようです。しかし、それでは、計算したりする便宜上どうしても不都合が生じてきたようで、0の発明にいたったとか・・・。
0の発明はインド人によるものという考えが主流のようですが、それ以前から、0と同じような扱いの記号を用いていた文明もあるようです。仏教の空とか無といった思想の流れからきているという説もあります。現在私たちが使っている数字(0,1,2,3,・・・)はアラビア数字ですが、0が発見されたことで、たった10種類の数字でどんな大きな数でもすべての数が表せるようになったのです。数の神秘性を感じずにはいられません。